孤独と孤立ーK先輩のこと2008-06-24 23:59

今日は大切な先輩だったKさんを偲ぶ日。仕事を終えて、比較的しずかな居酒屋に立ち寄りひとり酒を飲む。
私は人を恃むことはしないし、自分を含めた人間の度し難さに少し倦んでいるところがある。

一緒に仕事をした最後の数ヶ月、K先輩と二人で飲みに行く機会が多かった。
映画、仕事、本のことなどを子どもっぽい目で生き生きと話される。K先輩を病気の深い影が被ってしまう前の、凪のような夕暮れだった。神様は気まぐれだし、平等なんかじゃない。正しく清潔に生きているからってその人を大切になどはしない。それは55年の人生でじゅうぶんにわかった。

愛や信頼や友情や思いやりなどという安っぽい言葉を平気で垂れ流す人々はこの数年間に何をしたのか。どんな荷物を進んで背負ったのか。自壊していく人々を見ながら、「K先輩ならどうされただろう・・・」と思う。
「asyuuくん、まぁ人それぞれだから。じゃあ今日はこの辺で帰るから、あとは飲んでて」と言い残してさっと帰られたK先輩。
きっといまでもそうおっしゃるだろう。
もし「男らしさ」という言葉を衒いなく使えるとしたら、K先輩のような方だろうなと思う。

薄っぺらい言葉とつまらない人間関係で自壊していく人々からはいつも毅然と佇立していたようなK先輩だった。私は物心ついた頃から憎しみや怒りをエネルギーにして生きてきた傾向がある。だからこそK先輩のような自然体の生き方ができる人は憧れであり、風通しのよい場所にいるような感じがいつもしていた。

父として、兄として、そして人間としてのモデルを見いだすことができなかった私にとって、K先輩と語り合った凪のような夕暮れは宝物だ。「善きもの」に出会っていくということ、それはおそらくK先輩が独り映画館でスクリーンに向かっていた時間と同じように、冷ややかだが静かな時間なのだろう。孤独であることと孤立していることは違う。孤立していることは人を苛み、孤独であることはときに人を思慮深くさせるのではないか。

それらのことをK先輩から学んだような気がする。だから私は孤独とはいえ、本を読み、ロードバイクに乗り、森に入っていくだろう。それでもときおり淋しくなるので、その時はまたK先輩、お話をしましょう。

コメント

_ アール ― 2008-06-25 22:44

asyuuさん、こんばんは。

asyuuさんとKさんは、よく似ていらっしゃるような気がします・・・
でもasyuuさんは、いつまでもお元気でいてください。

_ asyuu>アールさん ― 2008-06-25 23:15

コメント、ありがとうございます。
ともすれば時折生きているのが面倒になりますが(苦笑
ロードバイクで200Km走り、20Kgのザックを背負って森をテント泊する元気さをなんとか維持したい(贅沢か?)と思っています。

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