「嫌われ松子の一生」を観る ― 2006-06-15 22:01
前評判は、前作「下妻物語」と較べると、「暗い!」という感想もあったようだ。
確かに、「嫌われ松子」は文字通りの「転落人生」を歩んでいく。
不幸は個性的に見えて、実は凡庸なものかもしれない。松子が学校の教師から転落していく様は、誰にでも生じうる「ボタンの掛け違い」「悪い方ばかり選択する性癖」によるものかもしれない。
この「転落人生」を、1970年代のアートシアター系の映画ならば、「個と大衆社会との対立」とか「近代的家族の束縛」とかという陰鬱なストーリーにしただろう。
だが、中島哲也監督は違う。コンピュータグラフィックスを多用し、松子と同時代の音楽もちりばめながら、松子の愚かさと一途さをテンポよく描いていく。
コンピュータグラフィックスが描く満点の星の下にいる松子。「不幸に刻印された人生」のなんと哀れで、美しいことか。
出演者も、まさしく多士済々。うっかりと見過ごしているシーンも多そうなので、もう1回、見る予定です。
原作の小説は、不幸さがリアルすぎて、読むのにはちょっとしんどいかも・・・。
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