森見登美彦「有頂天家族」を読む2007-09-28 01:22

有頂天家族
森見登美彦の最新小説「有頂天家族」、一気に読み終えました。
おもろい、めちゃおもろい。
登場人物は作者のブログでも紹介されている。
狸、天狗、そして忘年会に狸鍋を食するのを習わしとする人間たち(金曜倶楽部)。
彼らが三つ巴で登場し、最後の大団円は妄想満開、スピード感キリキリ、いやーっ、平伏しました。

森見さんの小説はなぜこんなにおもしろいんだろう。ちょっと考えてみた。
・しかめっ面した人生には、なーんの役にも立たない。だが、大いなるムダ,これほど面白いもんはない。
・観光風味の京都ではなく、魔界・異土たる京都のイメージを全面に出しているところがいい。
・キャラクターの女性がけっこう好き。人間の女性なのに半天狗になり空を飛び、人心もとい狸心・天狗心をまどわす「弁天」のかっこいいこと。
・赤玉ポートワイン、天狗煙草、偽電気ブラン、偽叡山電車、毛玉になる狸たち、などの小物類のおもしろさ。

主人公の狸下鴨矢三郎は宣言する。
「我らの身のうちに流れるのがきわめて濃厚な「阿呆の血」であるということを、恥じたことは一度もない。この太平の世を生き抜くにあたって味わう喜びも哀しみも、一切はこの阿呆の血がもたらすものだ」(同書216頁)。

「阿呆の血のしからしむところ」によって、ストーリーが展開する。
「阿呆の血」って、ステキな言葉だ。ここまで言い切る狸はすごい。そんなところに感心しているじぶんもすごい。

でも、ここまで彼の作品に惹かれるのは、私のなかにも「阿呆の血」が濃厚に流れているのだろう。

ちなみに来月、長年来の友人らと京都第1陣遠足(第2陣もあるのか?)に出かける予定だ。「阿呆の血」を発揮しまする。俗称「桃の会」の諸君、期待したまえ。だが、狸鍋は食わん。その前に、誰もこのブログを読んでいないか。薄情な友だちばかりだ・・・ぷつぷつ。

山岳コミック「岳(ガク)5」を読む2007-09-28 21:42

山岳コミック最新刊「岳(ガク)5」をむんむんと読む。

どのストーリーも佳品なのだが、「第1歩 あの一杯」が好きかな。
迷いを抱えて頂に立った登山者が回顧して言う、

「すごく、あんまりにも気持ち良くってね。コーヒーのこととか迷いとか、どっかに行っちゃったの。」

あいかわらず主人公の島崎三歩のかっこいいこと。今回は山岳事故で亡くなった方に「よく頑張った」と語りかけるのではなく、生存者に「よく生きててくれた!!ありがとう」っていう三歩の言葉がイイ。

へたれ登山者であり、ロードバイク乗りだが、基本的にはひとりで山に登りたい、ひとりでロードバイクに乗りたい。街での不満や心の迷いを山や森、そしてロードバイクの世界に持ち込むことは愚かなこととさえ思っている。

山は迷いの捨て場でもないし、迷いを解決する場でもない。ただただじぶんの身体と会話しながら、山に登ったり、ロードバイクに乗るのが好きだな。

山や森にひとりでいる自分、ロードバイクで走り続ける自分のなかに、街とはやはり違った自分がいるのだから。

でも遭難と事故にはじゅうぶん気をつけなくちゃ。

今回、「岳」特製キャップなるものが抽選で当たるらしい。
とりあえず応募してみました。でも、当選しても被るのにはちょっと勇気がいるな。

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