内田樹「態度が悪くてすみません」を読む2006-04-11 22:20

関西地方は、冷たい雨。満開の桜も、散り始めた。
昨日買った本を読む。内田樹教授の「態度が悪くてすみませんー内なる「他者」との出会い」(角川oneテーマ21)。あいかわらず内田節(ぶし)満載の本だ。

内田教授の本は、ブログに掲載された記事を再編集したものも多い。いちど読んだ文章であっても、「お布施」の意味で購入していた。だが、今回の本は、いろんな雑誌などに投稿されたものをまとめたもの。だから、初見の記事が多い。

内田教授の本を読むことが、なぜこんなに面白いんだろう。

たとえば次のような表現に、若い頃の自分を思い出して赤面してまう。
「教養主義というのは、ひとことでいうと「好き嫌い」に小うるさい理屈をつけずにはすまない性向のことである。自分の個人的な「好き嫌い」を個人的嗜好のうちに踏みとどめることができず、それを「良い悪い」という一般的な当否の水準で論ぜずんば止まず・・・・・というところまで暴走してしまうのが教養主義の一側面なのである」(同書31頁)。

あるいは次のような表現に襟を正してしまう。 「高橋哲哉の説く透明な理説が一つの基軸として存在することには思想的には重要な意味があることを私は何度でも認める。けれども、私はこの「案内人」にはついてゆくことができない。それはこの穢れた世界の卑しい街こそが私の現場であり、そこを歩むときには街の「卑しさ」を網羅的に列挙できる人ではなく、「卑しさ」から「美しいもの」を掬い上げる術を知っている人についてゆけと私の直感が告げるからである。」(同書191頁)。

内田教授は、村上春樹作品の優れた読み手だと思うが
「作家的直感によって村上は「人の心に入り込む物語」と「入り込まない物語」の違いが、言葉の身体性に存することを見抜いている」(同書64頁)などの文章を読むと、さすがだなぁと感服してしまう。

その他、
・「合理的な人」は結婚に向かない
・ご飯はえらい
・哀しみの平成無責任男ー「踊る大捜査線 THE MOVIE 2」より
・「老齢」を迎えたアメリカ
など、おもしろい(=知的興奮がある)記事が多くある。

内田ワールドを、多方面から味わえる本ですね。

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