生きのびろ、ことば2009-02-04 23:42

久しぶりに立原道造の詩を読む。若い頃読むと「甘ったるい高等遊民の詩だなぁ」と思ったのに、いま読むと不思議にストンと胸に落ちてくる。

のちのおもひに

夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
——そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……

夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには

夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう

生きのびろ、ことば
たぶん詩人による言葉のエッセイ集を読み進めているからだろう。すこし想うことのある冬の夜。想いをすべて言語化する必要はないだろう。
明日は会社の帰りに自転車ショップで諸々の備品チェックの予定。


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