柴崎友香「主題歌」を読む ― 2007-05-10 06:19
昨夜は残業後、すこし飲んでそのまま就寝。
いまごろブログを書いている。
文芸誌を読むことは少ないが、柴崎友香「主題歌」が掲載されているので購入。 群像新人文学賞作品も同時に掲載されているので読んでみることにした。
柴崎さんの小説をほとんど読んでいるけれど、街の匂い、色彩、そして街に住む若者がリアルに切り取られている。彼女の作品を読んでいると、街の風景、通りすぎる人々、地面に座り込む人、オフィスで働く人々、そして朝、昼、夜への移り変わりなどが, 次々と入り込んでくる感覚が生じる。
連続した街の写真を眺めているような感覚だ。
今回の作品も、OLをしている20代後半の女性が主人公。彼女の同棲相手、友人、後輩たちが次々と現れるが、いまここにいる若者を丁寧に描いている。優しくて感受性が強く、じぶんのスタイルを大切にしようとする人々が、大阪難波筋や阪急梅田駅を漂っていく。
私は街で生きることが好きだ。
山に籠もろうが、ひとりでいようが。街で生きていくことが好きだ。
神戸、大阪の雑踏を歩きながら、ビルの隙間から眺める空が好きだ。
柴崎さんの小説を読むと、あらためてそのことを感じるのだ。
あと、作品を読みながら気になったこと。
・スカーレット・ヨハンソン って誰? ・鶴屋吉信(京菓子)の「つばらつばら」って?
あとでNetでチェックしてみよう。
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_ 読書三昧 - 2008-05-12 21:25
主題歌
柴崎 友香
まったくもって他愛ない話だが、おそろしく気持ちがゆるりと解けるような感じ。
普通の会社に勤める二十代の女の子の普通の毎日。
大きなことが起きるでも、切なくてたまらない恋愛をしているわけでもない。
毎日会社に通い、同僚の女の子と話をしてランチをしてお酒を飲みにいって。
そんな変哲もない日常を彩る街の景色が、なんか絵とか写真のように目に浮かぶよう。
お店でもテレビでも雑誌でもなんでも、そこでカワイイ女の子を見つけるとうれしくなる。
そして同じような女子好きな女友達と、顔がかわいいだのムチっとした腕がかわいいだの言い合う。
それが楽しくて仕方がないとい女子の話。
一見なんだそりゃ?って感じだけど。
……でもこれって、なんか分かるわぁ〜。
関西弁のセリフがそうさせるのか、この小説全体の雰囲気がそうさせるのか。
どうしても柴崎サンの小説を読むと、ものすごく懐かしいような切ないような暖かいような気分になる。
こう見えてアタシ、割と世渡りは下手ではなく、周りの人たちとも適当にそれなりに巧く付き合っている。つもり。
だけど、この小説にあるような毎日とはちょっと違うなぁ。
日々顔を付き合わせる女の子たちとは適当な距離を取るようになって久しい。
なんだろう〜。会社の雰囲気なのか、県民性なのか、アタシの変な思い込みなのか。
集まると誰かの噂話とか誰かの悪口とか何かの文句とか……。
なんやろな。余裕がないのかしら?
そうじゃなくって、もっと馬鹿馬鹿しくて平和な話がいいよね。
っていうことで、この人の小説を読むと、いつも昔のことをいろいろと思い出してしまう。
特にこんなぼんやりとしたガールズトークっぽい小説なんか読むと。
まぁアタシ、女子高みたいなガッコに通ってたからねぇ。
あれはあれで全然女の子らしいことはないんだけど、無防備でのんきで楽しい日々。
ああいう雰囲気がとっても懐かしいなぁ。
それから前の会社に勤めていたころのこととか。
女子更衣室では、そりゃお局様と呼ばれるような人もいて、理不尽なしきたりとかもあったにはあったけど。
それでも仲良しの同僚とは、毎日毎日顔を突き合わせながら、何がそんなに楽しかったのかは覚えてないけど、それでも毎日楽しかったな〜。
何をするでもなく、別にすごく盛り上がるでもなく、淡々と片隅でおやつ食べながらコーヒー飲んでたりとか。
どうでもいい何かを見て、キレイだとかカワイイとか思ったとかいうようなことをボソリと話したりとか。
どうでもいいことを、とてもうれしく思ったとか、無意味に面白いと思ったとかいって、ゲラゲラ笑ったりとか。
で、お酒のみに行ってバカみたいに笑ったり、誰かが失恋して一緒に泣いてみたりとか。
そうやって昔は良かった的に思うのって、実は好きじゃないんだけど、たまにはいいよね。
そんな気分になりたいときは、柴崎サンに限ります。
出版社 / 著者からの内容紹介
この歌がここで歌われたことは消えてしまわない
聞こえてくる人の声、街の音 そして、誰かの心に響く歌がある
「女子好き」な女性たちのみずみずしい日常の物語
第137回芥川賞候補作(「主題歌」)
「愛ちゃんて、かわいいな。こないだの子とはえらい違いやわ」
「誰でもかわいいやなあ、小田ちゃんは」
「誰でもやないよ。いろんなかわいいがあるやん」
ただ、かわいい女の子やきれいな女優を見ていると、それだけで幸せな気持ちになるし、そのことについて話すのが楽しい。
同時収録:「六十の半分」「ブルー、イエロー、オレンジ、オレンジ、レッド」
単行本: 189ページ
出版社: 講談社 (2008/3/4)
ISBN-10: 4062142155
ISBN-13: 978-4062142151
発売日: 2008/3/4
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