「街場のアメリカ論」 内田樹2005-10-26 00:08

内田樹の最新作「街場のアメリカ論」を読む。

物心ついたときに観たアメリカは、TVのなかのアメリカだった。「奥さまは魔女」などのアメリカンコメディーは、どこがおもしろいのかわからなかった。最近(といってもちょっと古いか)の「アリー・myラブ」などもなぜ話題になったのかさっぱり理解できない。

子どもの頃、日本が極東といわれていることが理解できなかった。わたしたちが見る世界地図は、日本が中心に置かれ、アメリカは東の方にある。

だが、アメリカを中心にすると日本は世界地図の東側にへばりついた(極東)小国に過ぎない。

このあたりまえのことに気づいたとき、なぜか得心した。

日本は、軍事的にも文化的にもアメリカの影響の元に存在している。コンピュータにしろマクドナルドにしろ、BSEのため吉野家の牛丼が食べられなくなったことも、アメリカの影響をうけている。

この本は、日本から見たアメリカ論である。
アメリカは、それほど日本のことを重視していない。
アメリカ人の中には日本の世界地図における位置も知らない人が多いのではないか。
東京人が、九州の県の位置を正確にはいえないと同じように。

にもかかわらず日本人は、アメリカをモデルとして戦後国家を形成してきたように思える。

戦後60年を経て、日本とアメリカとはなんだったのかを知るには格好の一冊。

例によって、内田教授は、縦横無尽に(あるときはアメリカンコミックスを、あるときは映画を題材に)、日本とアメリカの戦後歴史を解きほぐしていく。

なぜアメリカは、小泉首相の靖国参拝に抗議しないのか、アメリカの訴訟社会とは、アメリカが戦後行ってきた戦争の意外な事実など、盛りだくさんである。

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