N.S.P(New Sadistic Pink)の天野滋さん逝去2005-07-05 11:03

N.S.Pの天野滋さんが亡くなられた。52歳。

N.S.Pの歌は、若い頃によく聴いた。

関川夏央の文章の中に「若い頃の決意などは、(実は)その日その日の思いつきにすぎない」というものがあったような。だが、「思いつき」に振りまわされるのが青春というものかもしれない。

「夕暮れ時はさびしそう」「八十八夜」「弥生つめたい風」など、いまでも山などを歩いていると、つい出てくる歌たち。

この歌たちと出会った頃、わたしはひとりの女性に恋していた(遠い目・・・・)。高校の同級生で、放課後、城山をふたりで散策した。大学受験へと級友たちが収斂されていくなかで、わたしたちも受験生だった。

幼くて、そのくせ潔癖で「つま先立って歩くような」青春時代(これも関川夏央の名言)を過ごしていた。
だから、わたしたちの「恋」も長くは続かない。
互いを高めあうことを目的とするような恋は、どこか嘘っぽいし、疲れてしまうものだから。

彼女は、京都の大学へ、わたしは浪人生活へ。

物理的な距離、大学生と浪人という立場の違い、そしてそれぞれの家庭の問題・・・。
城山の銀杏並木を歩きながら、あれだけ語り合った時間が次第に負担となっていく。

わたしたちは、大学生、そして彼女が社会人となってもときおり会って話をした。
でも、ふたりのあいだに「恋」というものは、よみがえることはなかった。単にタイミングの問題かもしれない。

10代の恋は、社会性もなく、仕事もなく、家庭もないからこそ「純粋な恋」になるのかもしれない。
だからこそ相手を平気で傷つけてしまう・・・。

わたしが社会人になって、彼女から電話で「結婚することになった。やさしい人よ」と報告を受けたとき、N.S.Pの「八十八夜」の歌詞を思い出した。

10数年後、彼女と再会したとき(同窓生として)、その時の電話のことが話題になった。

彼女は、こう話した。
「あー。あれはあなたにまだ未練があったのよ。ひょっとしたらあなたが、結婚するなよ、っていってくれるかなって・・・。わたしもかわいい娘だったのね」

N.S.Pの歌は、ずっとわたしの心の中で鳴りつづけるような気がする。

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