柴崎友香「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」を読む ― 2006-03-06 00:07
この本、読みたかったんですよ。文庫化されていたので、即、購入。
柴崎友香ワールドを満喫できる作品です。
「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」
わーっ、題名がとてもイイ。なんか想像力をかき立てるような題名ですもんね。
柴崎さんの作品は、「移動する」というのがモチーフなんですよね。「きょうのできごと」や「青空感傷ツアー」、そして「ショートカット」でも、車で移動したり、東京や外国に出かけたり。そして人との距離感が中心となっているような。
「自分が思う相手」と「相手が思う自分」、そこに当然、齟齬が生じる。そのもどかしさが、変わっていく空の色や、関西弁の会話の中で、次第に形となって表されていく。でも、なにか劇的な展開とか解決法が提示されるわけではない。ある意味、いつも尻切れトンボのような結末。
でも、なぜかこの無理矢理に方向を示さない柴崎ワールドを、かなり好きかも。
「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」は、恋人同士の男女の東京行きの車に同乗した、二人の男友達。友人の彼女に惚れてしまう彼は、写真も音楽も才能あるとまわりから認められているのにフリーターみたいなことをしている。でも、かれの苛立ちは、友人の恋人を通じて、それとなくわかるようになっているんですよね。
もうひとつの作品「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」は、好意を寄せていた男の子に振られて、眠り姫(一日の大半を寝ている)になった女子大生の物語。なんかぐっすり眠ってみたくなるような短編ですよ。
関西弁が、かなりストレートにでているので、読み取れない部分(とくに東京の人には)があるかもしれませんね。
でも、言葉はストレートだけど、優しい関西の女の子の特徴がよくでています。
本にまつわるどうでもいい話 ― 2006-03-06 21:47
巨樹の森・和賀山塊、そして芦生 ― 2006-03-06 23:00
NHKスペシャルの自然特集には、力作が多い。
いままでの特集の中では「琵琶湖の里山」「中国山地のツキノワグマ」などの特集が、印象的だった。
3月5日に放映された「巨樹・生命の不思議 緑の魔境・和賀山塊」は、日本一大きいブナの四季を根気強く撮影した番組。春夏秋冬のブナの生命が、みごとなカメラワークで撮られている。
わたしは個人的には、それほど巨樹には興味がない。しかし、この和賀山塊の森の豊かさは、マタギなどの山の民が享受できたものだろう。山への畏敬を有する山の民でないとこの森には入る資格がないと思うほど、豊かな森だ。
変な林道など造らず、いつまでも森として存在して欲しい。
巨樹でなくとも、芦生の森にも、比良の森にもブナやミズナラ、芦生杉などの豊かな木々がある。新緑の森は、もうすぐだ。
最近のコメント