叶泉「お稲荷さんが通る」 ― 2009-11-16 22:14
強烈な表紙の印象。カバーイラストは石居麻耶さん。
石居さんは万城目学の「鴨川ホルモー」
などのカバーイラストも描いているが、今回の彼女のイラストは今までと印象が違います。従来のほんわかしたイメージより、くっきり彩り鮮やかなイラスト。石居さんのブログを読むと、作品から得たイメージで描かれたようです。
発売前から気になっていた小説なのですが、この表紙のイラストの魅力と少し立ち読みして文体が私好みなので購入しました。
100年後の京都が舞台で、世界的な食糧危機で民主主義・資本主義もぶっとび中国が世界の覇権を握り、中央集権的な世界の中で日本は「日本族」として中華人民共和国日本省特別行政地区に住んでいる。主人公はその特別行政区の中でもスラム稲荷山に住む18歳の娼婦。
彼女には廃神毀釈で行き場所を失った神様ウガが寄生しており、彼女の右顎の絆創膏の下にその神様はいるという設定。
かなりぶっとんだ設定だけど、森見登美彦、万城目学につぐ京都妄想文学の第3ランナーだろうか。読み始めているが、おもしろうそう。
妄想が縦横無尽に進行し、でもきちっと収斂していく妄想系エンターテインメント小説って好きですね。
作者叶泉さんのあとがきも小説家のスタートとして初々しく、そして決意めいたところがあり、かなり気になる作家になりそうです。
コメント
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_ 猛読醉書 - 2009-12-29 12:35
約100年後の京都を舞台にしているのですが日本ではなく、中間人民共和国日本省特別行政自治区。傑作な舞台設定で、ポイントが高く、最初から読者を引き込みます。「日本族」という言い方もさもありなん。中国人からの差別もリアル。ほとんどの日本人は社会の底辺で暮ら...
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