死者を悼む方法2005-11-15 23:55

職場の同僚が急逝した。 出勤途上、胸の痛みを訴え病院に搬送されたが、手遅れだったようだ。

心筋梗塞。53歳。

彼とは今の職場に同時期に異動してきて、2年間,同じ係に所属した。 生き方も仕事のスタイルも異なるタイプ。 彼は着実に仕事を覚えていくタイプ。丁寧な仕事をするので、残業することが多かった。 だが、残業申告はせず、「サービス残業」。

わたしが、わからない点を質問すると、ボソボソとした口調で、実務的な処理を的確に教えてくれた。今春からは所属するセクションが異なったので、以前ほどは話をすることはなくなっていた。

いまの仕事は、仕事とのすりあわせの中で自分が摩滅していくような感覚がある。 彼も、最近は顔色悪く、胸の痛みを訴えていた。 わたしは、機会があれば彼にアドバイスしていた。

・無理をしないこと。死んでも、君が話題になるのは1週間くらい。そのあとは、君が存在しなかったように仕事は進んでいくよ。

・自分の中で、仕事の区切りをつけること。それ以上は、君のせいではなく組織のせいだと思ったほうがよいのではないか。

彼は、はにかむような笑顔を見せながら、わたしの話を聞いていた。 なくなる前日も、夜遅くまで仕事をしていたようだ。

彼の死は、「戦死」であり、同時に「犬死に」だ。

今回の彼の急逝をめぐることをこれ以上書くと、 「キーボードで悪口を打つ」ことになる。邪悪なる想いは、邪悪なる気をも自分にもたらしてしまう。自家中毒になってしまう。

上司がとった態度は、「我が亡き後に洪水はきたれ」ということだ。

今回のことを知らせるメールを友人に送ると、返事にこうあった。 「一緒の係で仕事してた楽しい思い出をたくさん思い出してあげてください」

邪悪なる想いをキーボードで打つより、それが人を悼むということかもしれない。


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