「哀しみの置き場所」を探して ― 2006-07-01 17:10
K先輩との別れから1週間が経った。私は、とくに情が厚いわけでも、心優しい人でもない。
だが、この1週間は、なぜか精神の居心地が悪い日々だった。
昨年11月15日の、旧職場での同僚の急逝。そして、このたびの敬愛するK先輩との別れ。
哀しみというのか、昨日の風景となんら変わりなく日々が過ぎていくコトへの違和感みたいなモノ。
内田樹さんのサイトを読んでいると、huiliさんという方が、保坂和志さんの冷淡さの連鎖というエッセイを引用している。
さっそく読んでみる。
日本では「いつまでも悲しんでいないで、早くしっかりしなくちゃ」と言うのが普通だが、それでは死んだ人は浮かばれない。死んだ人が浮かばれないということは、生きている人が大切にされていると感じられない、という意味だ。
自分が死んだときを想像してみてほしい。形だけ葬式をやって、終わったらみんなさっさと故人(つまり、あなたのことだ)を忘れて仕事や勉強に励んでいたら、死んだ自分が悲しいではないか。
死者を丁寧に葬り、きちんと喪に服すというのは、人間が人間として存在するための条件なのだ。人間はただ生きているだけではなくて、死んだ後も含めた漠然とした広がりを含めて人間という存在になっている。だから、死にまつわる行事をないがしろにすることは、生きている人間をないがしろにすることになる。
確かに、そうなのかもしれない。いま「組織の原理」というものが最優先されるかのような風潮がある。
旧職場で同僚が急逝したとき、上司の努力でその欠員が補充された。年度途中に人員が補充されるというのは、異例の事態だ(通常は、欠員のままアルバイト対応になる)。それは「組織の原理」からすると合目的な解決手段だろう。だが、そのことは急逝した同僚を「組織の部品」として認めたことになるのではないか。「悲しむよりは、前に進もう。個人の遺志をムダにしないためにも、力を合わせていこう」という名の下に、わたしたちは「哀しみの置き場所」をなくしてしまうのではないか。
本を読んでいるとき、音楽に接しているとき、職場へ向かう歩道橋の上でふと街を眺めるとき、私は同僚のこと、K先輩のことを思う。梅雨の合間の、夏の光を予感させる朝、私は彼らの表情と言葉を思い出す。
「組織の部品」としての私・彼らではなく、同時代を過ごす私・彼らを想像する。
保坂さんは、最後にこう書く。
9・11の後、「憎しみの連鎖」ということが言われたが、いま社会全体で「冷淡さの連鎖」が進行している。社会全体がそうなりつつあるときに、ひとりひとりの努力なんて無力としか映らないが、無力でも何でも逆らう努力はしてみなければならない。とりあえずは、開けたままになっている電車の窓は閉めよう。知り合いや身内に不幸があったらもう一日余分に休もう。ペットが死んで悲しんでいる人がいたらそれを馬鹿にしないようにしよう。円滑であればいいとしか思っていない組織の流れを少し遅らせる心掛けが、「冷淡さの連鎖」に歯止めを掛けられるかもしれないのだから。
「冷淡さの連鎖」という合目的な指向のみが重視される組織は、けっきょく大きな誤りを生み出すかもしれない。
明日、私も部品になってしまうかもしれないという諦念より、私・彼らを含めた時代に想像力を働かせてくれる人々がいるという風景を私は望む。
それが「人間はただ生きているだけではなくて、死んだ後も含めた漠然とした広がりを含めて人間という存在になっている。」ということなのだろう。
クロスバイク・TREK(トレック)7300に出会う ― 2006-07-02 22:05

このブログのカテゴリーにBicycleを追加します。
はい、クロスバイク、買っちゃいました。
朝は強い雨が降っていたのに、天候が回復。さっそく、サイクルセンターサンワに出向く。この店では25年前にロードランナー(ツーリング車)を購入した。その後、自転車乗りからは遠ざかっていたが、自転車も進歩しているし、風を感じて走るのもいいなぁと思い立ち、購入を決意した次第。
まぁ、単に思いつきです。
スピードを重視するロードレーサーより、安定性を重視してクロスバイクを選択。ひさしぶりの自転車だから、まずは高級品より馴染むような足が欲しかったんですよね。
いろいろ眺めていて、予算・印象・機能などからえらんだのが、TREK(トレック)7300。派手なオレンジ色(フレアーダブルトーン)が目についたが、すでに完売とのことなのでメタリックブラック色を選ぶ。その他、鍵・ライト・CYCLOCOMPUTERなども購入。
家に持ち帰ったあと着替えて、近くの河川敷のサイクリングロードをTREK7300で走る。
夕方の斜光のなか、心地よく走ることができる。でも、ロードレーサーに乗ったライダーに次々と抜かされていく。
ハハハ、まだまだ実力不足です。でも、のんびりライディングも楽しいかも。しゃかりきに走る年齢でもないし。
ではでは、このブログでは自転車生活のことも書いていきます。
自転車散歩本購入 ― 2006-07-03 21:59
山と溪谷社 (2005/03)
売り上げランキング: 52,885
TREK7300を手に入れたので、早速サイクリングコース案内本を購入。
淀川や大阪市内コースなどがあるが、もっとも興味を惹いたのは「淡路島1周コース」。
明石からたこフェリーに乗って島にわたり、島1周なんてイイなぁ。
まだクロスバイクを乗りこなせていないのに、妄想ばかりが先行する。
山歩きもしなければならないし、ボチボチ、夏の山&ツーリング計画を立てなくちゃ。
「幸福な食卓」を読む ― 2006-07-04 22:07
家族というものは、いったんは壊れていくモノかもしれない。
瀬尾さんのこの小説を読むと、今風の家庭の悲惨さ・問題点がストレートに浮かび上がるわけではない。
中学生の佐和子の家庭は、かならず家族が朝に食卓を囲む。だが、そこには母はいない。
中学教師をしている父は自殺を図り、死ぬことができなかった。母は、そのために精神に変調をきたし、結局家を出て自活している。勉強も運動もよくできた兄は、大学進学を拒み、無農薬農場で働いている。
ある日、父が「父親であることをやめる」と宣言して、中学教師を辞め、大学受験(薬学部)を志す。
兄は、逆に「お兄さんと呼んで」などと急に家族意識に目覚めたりする。
佐和子が中学生から、高校2年になるまでの家族の変化を、柔らかい表現で描いていく。
佐和子と同級生のBF大浦君との別れ(彼の急逝による)の場面は、切なく、そして圧倒的な現実感をもつ表現力だ。瀬尾さんは、ほんとうの哀しみというモノを理解されているのかもしれない。
家族は、それぞれの道を選んでいく。だが、それはいったん壊れたモノから新しいモノを創りだしていくという再生の過程でもある。そのことは、また、佐和子たちの未来をも予感させる。とても余韻のある小説だ。
あまりぐちゃぐちゃした、自意識過剰の小説を読む気分ではないので、この本を読むとほんのりした気分になる。
小説中に出る、いろんな食事の場面も、なかなか秀逸。食べながら、会話していくって、人と人との基本だと私は思っているから。
山に登り、自転車に乗る(節約編) ― 2006-07-05 23:14
私は、山歩き・NotePCが好きだ。趣味には、お金がかかる。で、今回クロスバイクを趣味の中に入れちゃったけど、山・NotePC・クロスバイクの三種混合の出費は、さすがに痛い。
山歩きもクロスバイクも、同じアウトドアスポーツじゃないか、なるべく流用できるものは流用しようということで、「好日山荘」に立ち寄った。
クロスバイクに必要なモノとして、登山用のモノを流用できないかをチェック。
・靴----縦走用登山靴は不可。なにしろ重い。とりあえずジョギング用の靴を使うことにする。
・手袋---クロスバイクのハンドルを素手で長時間握り続けるのは、つらい。沢登り用のストリームグローブを使うことにした。水に強いし、当然、グリップ力もよい。
・ウエアー----速乾性の下着・Tシャツなどは、登山用のモノを多く持っている。これを代用。登山用スパッツも検討してみる価値があり。
・ヘルメット----ロードレーサー用のヘルメットは大げさだし、高い。クライミング用か沢登り用のヘルメットがイイかなぁ。でも、下手すると自転車通学の中学生みたいになってしまうのが難点。転倒しない(ムリ?)、ロードレーサーほどスピードにこだわらないということなら、ヘルメットは不要という選択も有りか。
・ザック---山用のザックが4つあるので、これを代用。
結局、自転車用じゃないとダメなのもの、たとえば、空気入れとか工具とかパンク修理部品とかが、必要なモノになるんじゃないかな。要は、あまりお金がないってことなんですけどね(汗)。
梅雨の日々、TREK7300に乗れず妄想全開 ― 2006-07-06 23:04
やっとこさ週末。梅雨のため天候が不順、仕事ばかりの生活の中で、TREK7300と遊んでいない。
TREK7300を玄関のかまちに置いている。理想(妄想)は、ロードバイク・クロスバイク・折り畳みモデルを揃え、自転車専用の部屋を持つこと。壁面には自転車、お気に入りの本だけを保管し、ThinkPad などのNotePCを数台置く。もちろんOSはLinuxだ。
もう一つの壁面には、山用の道具を置く。家を改築するときには(いつだ?)、家族に提案してみよう。
うーん、仕事をまじめにしすぎか?妄想全開だぁ。
自転車のメンテナンスブックを一応買っておく。
先日、逝去されたK先輩の奥様から心のこもった礼状をいただく。
K先輩も、最近のこのブログを見られたら、おそらく苦笑いされていることだろう。
明日は、旧職場のメンバーとフレンチの夕食。若いご夫婦で切り盛りされていて、志のある料理店だ。
前回、その店で食事したときは、K先輩もご一緒だった。わずか2年余りの間に、私も周りの環境も変わっていくのだ。それは、しかたないことではあるが、K先輩とともにこれからもいるだろうという思いは変わらない。
TREK7300、本格的デビュー?(北山貯水池編) ― 2006-07-08 21:23
やったー、今日は雨の心配がない。TREK7300で走りに出かけた。
自宅を出て、サイクルショップで小物類を購入。そのまま武庫川サイクリングロードを南下。河口までゆっくりと走る。生まれ育った高知の仁淀川を高校生の頃、ひとり自転車で走ったことを思い出す。あの夕日の川辺にまた行ってみたいなぁ。
しばし河口でのんびりして、夙川ぞいに北山貯水池を目指す。
越木岩神社周辺の急坂で、自転車に乗ることをあきらめる。クロスバイクの能力に、私の能力がまだついていけませーん。乗ったり、歩いたりしながら北山緑地公園を経て、北山貯水池に到着。
六甲の山並みを眺めながら、ひと休止。北山貯水池の公園の水道で顔を洗い、ついでに頭にも水をかぶる。蒸し暑い日なので、気持ちいい!
さあ、あとは下りのみ。甲山大師を過ぎて、いっきに仁川まで下っていく。
いやー、速い。
おーっ、MAX46.1Kmスピードが出てる。
前を走っているファミリータイプの自動車を追い抜いてしまいそう。
カーブもきれいに曲がっていく。
Vブレーキの効きもイイ。
風を感じる。
でも、転倒したら痛いな、骨折するなぁ・・・。
武庫川サイクリングロードに再度出て、のんびり走る。
今日の走行距離【44】km。ふむ、距離は短いけれど初登りも兼ねたからこんなものかな。
帰って、ツーリングの本をビールを飲みながら読んでいると、心地よい疲れでそのまま小一時間熟睡。
目覚めると、上半身が筋肉痛となり、めちゃ日焼けしていることに気づいた。
しばらくは風を感じて走り続けたい(山も登りますけど)。
妄想しながら読んでいる本。
↓
最近のコメント