「青空感傷ツアー」と優しい関西弁2005-11-20 23:45

実は、関西弁は優しい言葉だ。いつもTVで吉本流の、ことさらにぎやかな関西弁を聞いていると、とくにそう感じる。
この本を読むと、「関西弁って優しいなあ」と感じる。OLを辞めたばかりの芽衣と彼にふられたばかりの音生(ねお)。二人のあいだに交わされるのは生粋の関西弁。
二人の20代の女性が、大阪・トルコ・四国徳島・石垣島と旅行していく。

劇的なコトが起こるわけではない。だれもが振り向くほどの美人である音生と「良く言って並」の芽衣。それに関わる男子たち。この男子たちが優しいというか優柔不断というか・・・。
柴崎の他作品「きょうのできごと」「ショートカット」「フルタイムライフ」にも、このような男子たちが出てくる。

柴崎の作品の特徴は、孤独とか真摯とかスピードとかといったものではなく、ゆったりと流れる時間の軸なのだ。そこに優しい関西弁と色彩(夏の夕暮れとかネオンのない闇とか)が描かれていく。
美人でわがままで男子を振りまわしているばかりのような音生にも、それを形作る芯のような家族関係がある。でも、そこはあっさりと描かれている。
形から入る(外見から好きになる)芽生も、うまく恋愛できない女子なのだが、その不器用さがかえってリアルな感情をもたらす。
ふーっと波間に浮かんでいるような、不思議な感覚をもたらす小説だ。

映画化された「きょうのできごと」も佳品だった。この作品にも妻夫木くんが出てますね。京都の出町柳の橋をとおるたび、映画版「きょうのできごと」を思い出してしまう。

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