甘美なフェチシズム短篇、小川洋子「海」2009-02-02 22:32

海
ひさしぶりに小川洋子の短篇集を読む。
甘美なフェティシズムに満ち溢れた作品群だ。

「海」
架空の楽器「鳴鱗琴(めいりんきん)」。婚約者の弟は、海風と呼応して鳴るというその楽器奏者。死への擬態、サイダーという小道具。彼と彼の姉の婚約者が語り合う時間の静かなこと。

「風薫るウィーンの旅六日間」
ウィーンの養老院の部屋が中心となる。白くて仄(ほの)暗い世界。結末がちょっとブラックユーモア。

「バタフライ和文タイプ事務所」 和文タイプの活字を修理する男と新人タイプライターの官能的なやりとり。活字を巡る言葉使い(淫靡、糜爛)のうまさ。

「ひよこトラック」
言葉を発することができなくなった少女と、人生に疲れたホテルのドアマンの交流。陳腐な感情の交流ではなく、蝉の抜け殻、卵の抜け殻などを通して、互いに再生していく物語。

「ガイド」
不完全なシャツを作る伯母さん、詩人を止め「題名屋」として業をなす初老の男。彼らと交流する男の子。題名屋の男が彼の1日につける題名は「思い出を持たない人間はいない」

甘美なフェティシズムに浸る1日があってもよいかもしれない。

コメント

_ meji ― 2009-02-03 07:19

おはよございます。
インフルエンザで出勤停止中です・・・暇也。
小川洋子さんの「薬指の標本」が映画化されてます。
しかも、フランスで。
でも、小物や建物や、そういったものがとても
懐かしい感じでした。

asyuuさんもインフルエンザ、お気をつけて。
今年は大した症状がないのに、罹患していることが
結構あるそうです。わたしもだし。

_ asyuu>mejiさん ― 2009-02-03 22:46

あらまぁ、インフルエンザですか。
ムリなさらずに養生してくださいね。
小川洋子さんの作品もボチボチ読んでいこうと思っています。
映画も興味深いですね。

なるべくロードバイクに乗りたいので
インフルエンザは遠慮しておきたい。
よく食べ、よく動いて罹患しないようにします(効果あるか?)

落ち着いたら、あっち方面(どっちだ?)の探索もよろしく。

では暖かくしておやすみなさいませ。

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