ふゆのさくら2007-10-23 22:42

奈良・佐保川沿いの桜
仕事が立て込んでいて、ちょっと遅めの昼食を取る。喫茶店でサンドウィッチ・ミニグラタンの昼食。味はそれほどたいしたことはないが、三宮の幹線の街路樹を眺めながら比較的しずかに過ごせることができる。

昼食はいつも独りで食べる。人と一緒に食べるのは好きじゃない。でも気のおけない友らと料理店で食べるのは好き。食いしん坊の女性が好きだ。

食後,珈琲を飲みながら村上春樹「羊をめぐる冒険」を読み進める。村上春樹の初期の作品。端正な文章をこの時代に書いていたのだと、あらためて感嘆する。

ふと新川和江の詩「ふゆのさくら」が浮かんでくる。

「ふゆのさくら」      新川和江

おとことおんなが
われなべにとじぶたしきにむすばれて
つぎのひからはやぬかみそくさく
なっていくのはいやなのです
あなたがしゅろうのかねであるなら
わたくしはそのひびきでありたい
あなたがうたのひとふしであるなら
わたくしはそのついくでありたい
あなたがいっこのれもんであるなら
わたくしはかがみのなかのれもん
そのようにあなたとしずかにむかいあいたい
たましいのせかいでは
わたくしもあなたもえいえんのわらべで
そうしたおままごともゆるされてあるでしょう
しめったふとんのにおいのする
まぶたのようにおもたくひさしのたれさがる
ひとつやねのしたにすめないからといって
なにをかなしむひつようがありましょう
ごらんなさいだいりびなのように
わたくしたちがならんですわったござのうえ
そこだけあかるくくれなずんで
たえまなくさくらのはなびらがちりかかる

来年は奈良・佐保川の桜が見たいな。そして来年の桜の頃には、ひょっとすると「ひとり暮らし」を始めるかもしれないな。

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