奥田英朗「マドンナ」を読む2006-01-03 23:47

マドンナ
マドンナ
posted with amazlet on 06.01.03
奥田 英朗
講談社 (2005/12)

奥田英朗の「マドンナ」を読む。

40代の中間管理職の男性が主人公の短編集。
若い部下の女性に懸想し、勝手に失恋してしまう(マドンナ)、大学に進学せずにダンスの道に進む息子、横暴な上司に悩む父親(ダンス)、筋を通すと言うことが組織とぶつかってしまうことを味わう男性(総務は女房)、合理的・聡明な女性上司とのとまどいを描く(ボス)、そして年老いた父親を思う(パティオ)など。

直木賞を受賞した「空中ブランコ」や「イン・ザ・プール」の作品よりは、毒はうすめ。トンデモ精神科医伊良部のような強烈なキャラクターは出てこない。
みなオヤジ特有のグジグジさがある。

まあ、サラリーマンを主題にもってきたところで、毒はうすめになるんでしょうが。

でも最後の「パティオ」は、佳品だなあ。
あまり人気のないショッピングモールのパティオで日々読書する老人。おひょいに似ているという設定。主人公は、田舎にいる父とその老人を重ね合わす。

この老人が、かっこいいんだなぁ。

もたれない、でも、拒絶もしない。「アローンとロンリーは似て非なるものだ」(同書298頁)。

こんな老人になりたい。

「マドンナ」は、うーん、セクハラとの相違が不明。
見た目は中年、中身はいまだ少年(帯)は、いいわけにならん。

少年は少年、中年は中年。
ちゃんと区切りは、したほうがよろしいかと。

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_ 書庫  ~30代、女の本棚~ - 2006-05-03 11:23

この著者が直木賞を受賞する2週間程前に書店店頭で目にした装丁と帯のキャッチに引かれて購入した1冊である。

平積みされていたのは、きっと直木賞候補になっていたからだろう。何も知らず買った私である。これでも趣味は読書だ。



話を本筋へ戻す。

「いかん、

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