自分自身の心がよき同行者2019-06-27 20:42

関西地方も昨日(26日)やっとこさ梅雨入りした。観測史上最も遅く、例年より3週間遅れというところ。春夏秋冬の国、雨も降らないと困りますよね。

雨が降ることが少ない6月だったが、よりのんびりと暮らした感じだ。
隠居者なのでクロモリロードでポタリングして、緑陰の公園のベンチで読書する。

最近よく読んでいる川本三郎氏の本。最新の著作から読み始めたので、この本は著者が50代半ばの著作だから、対象も文体も若々しい感じがする。
あのエッセイこの随筆
同書を読んでいると、昔の文人はソフト帽をかぶりステッキをついて散歩した。
永井荷風はステッキの代わりにコウモリ傘スタイルだったみたいだが。
散歩というのは明治以降、西洋から学んだ高等遊民の趣味だったのだろう。いまはもっぱら健康維持という目的になっており、卑近すぎて私はブラブラ散歩するほうがいいなと思う。

「酒を飲むのも一人、街を歩くのも一人」という文章がいい。
居酒屋で、旅でひとりの時は「自分自身の心がよき同行者になる」のが魅力だろうな。


「東京の町でいい町は、豆腐屋、銭湯、古本屋の三つがあることで、これを「町の三点セット」と呼んだ。地方のいい町の「三点セット」は、鉄道の駅と水田と、そして酒造」(同書98頁)
ローカル鉄道の駅は次第に無くなっていくので、川と水田と、そして酒造(米も酒も水の芳醇な地で育つ)がいい町になるかな。

「一人暮らしになってから、鉄道の旅ばかりしている。観光名所とはいえない、市井の暮らしが感じられる町に行くことが多い。心のどこかに、東京を離れ、田舎暮らししたいという思いがあり、といって、思いきって移住する気力もないので、旅に出て、しばし、その町に住んでいる気分になる」(同書146頁)
年老いていくと病院や交通を考えると街に住むほうが便利。人口減少していくと、都道府県の中心地に人口が集まり(高知市などはすでにその傾向大)、人口減により縮んでいく日本では東京一極化がより進むだろう。
別荘暮らしや田舎暮らしするほどの余裕はないので、旅にしばし出るのが小さな贅沢かもしれない。

「鉄道は「経済」ではなく「文化」である。「経済」優先で「文化」が切り捨てられてはならない。まして豪華列車を走らせるゆとりがあるのだから」(同書221頁)
とはいえ地方は車社会であり人口減少がより進み、これから多くのローカル線が廃止か第三セクターに変わっていくだろう。豪華列車に興味が全くないのは同感かな。

同書で新しい人を二人知った。それも読書の楽しみやね。
サライ編集者だった岩本敏氏

台湾 栖来ひかり台北物語~taipei story

今日はしっかりとした雨で台風も発生。
雨と読書と昼寝の一日、のんびりしてなかなかよろしい。




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