無造作に2016-01-29 23:07

定年退職して再雇用で働き始め、4月からは3年目に入る。1年ごとに契約更新で、希望すれば65歳まで働ける予定だ。

いままで大きな病気やケガをしたことがなく、50代後半でも「老化って何?」と錯覚するほど元気だった。でも60歳を過ぎてから、集中力・体力ともに次第に低下していることがわかることが多くなってきた。

加齢から自分だけが例外なんてあり得ない。

そんなことを考えていると、来年度は完全引退に向けた心構えや経済生活をキチンと考えていかないとダメみたい。

以前から読んでみたかった「播磨の峠ものがたり」を地図と対比しながチェックしている。
 播磨の峠ものがたり

自転車でいつまで峠を越えることができるだろうか、ツーリング旅行に行くことができるだろうか。会いたいと思いながら会えなくなった人たちがいる。

そんなとき詩人・小松弘愛のこの詩を思い出す。
どこか偽者めいた―詩集

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無造作に

その女を人を見送りに行った
駅の時計を見ると
長針がわずかに動いて短針にぴたりと重なった

午後一時五分
二つの重なりから目を離した後
その女の人の横顔をちょっとのあいだ見つめた
わたしの視線に気づき
どうしたの?
と その女の人は怪訝な表情を見せた

わたしは時計を指さし
「時計の針Ⅰ(いち)とⅠとに来たるとき・・・・・」
という白秋の歌のことを話した
ただ これに続く下の句については
笑いのなかに言葉をにごして

やがて
特急列車の窓ガラスを隔てて
お互いに手を振り 無造作に別れた
下の句は
「するどく君をおもひつめにき」だった

駅の時計から二十数年たって
たまたま再会したとき
その女の人は
「わたし知っていたわ あの白秋の歌」
と言って笑った

いや
「再会」したというのは作り事
人は無造作に別れる
そして
それが生涯の別れとなることも多い。
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無造作な別れを私たちは経験するのだから、旅することによっていつか内面の世界へと向かっていく時間が、自分には必要だろうなと考えている。



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