和菓子処うませ(旅人は峠を越えて去っていく)2017-03-22 20:05

先日のライドで和菓子処うませに久しぶりに立ち寄ると、店内の雰囲気が以前と違う。忙しさにかまけて店内の整理ができていない感じなのだ。

季節の和菓子を購入し、奥さんが店に出てこられたので「ご主人はお元気ですか?」と尋ねると「2月6日に亡くなったんですわ」とのこと。なんとなく店内の雰囲気から予感はあったし、以前にご主人と世間話したときも、心臓の手術をして入院していたことなどは聞いていた。奥さんによると「それ以外にもいろんな病気があってねー。けっこう入院していたんですわ」とのこと、享年78歳・・・

うかうかと冬を過ごしているうちに、ご主人と世間話をすることも叶わなくなった。
「人は無造作に別れる そしてそれは永遠の別れになることが多い」という詩人の言葉があったけれど、今回はそれを痛感した。

うませに初めて立ち寄ったのは2010年4月。
北摂ゆるりライド(2010.4.7)

気さくなご主人から和菓子の話、猪名川町の昔話などをお伺いした。

ライドの帰り道でうませに立ち寄ると、ご主人がお茶とともに「これ最近の和菓子やねん。食べてみて」と勧めてくれる、こちらが「いや、気(きい)つかわんといてください」と恐縮すると、「ええから、ええから」とにこやかに話しかけてくれ、こちらも厚かましくもご馳走になったりした。

私が定年になったり、孫ができたことを報告すると「おたくは自転車に乗ってるし、しっかりと生きてこられた感じやからご褒美やね」とおっしゃってくれた。

私は非社交的で、群れることを好まない偏頗な性格だ。
でもうませのご主人とは衒いなく話ができたので、ご主人のオープンさが影響していたのだろう。

奥さんに「ご主人が亡くなられて、和菓子作り大変ですよね」と伺うと、「いやー、(和菓子は)私がほとんど作っていましたから」

驚愕の事実、ご主人、あの和菓子作りの蘊蓄は奥さん譲りだったんですか!

「主人が店に出てくれて接客したり、配送や調達なども一手に引き受けてくれていたので、いなくなって大変ですわ。それにやっぱり寂しい・・・ でもこれからも贔屓にしてください」との奥さんのお言葉にやはりしんみりしました。


生きることは人生の峠を越えていくようなもの。


私たちは誰しも、旅人のごとく峠を越えて去っていく。
ご主人も「和菓子一筋の峠」を越えられて行ったんだ。

うませ関連の私のブログ記事をいくつかピックアップしてみた。

2010年5月の風とロードバイク(2010.5.16)

焼き鳥背負って3万km(2010.12.19)

粉雪の中、上和菓子のために走る(2011.1.10)

今日はお使いライド(2011.2.19)

先取りして夏(猪名川町「うませ」へ)(2011.6.21)

OnとOff(2012.2.12)

長かった冬(和菓子処うませまで)(2013.3.3)

夏への道(2013.7.7)

能勢グラベルライド(2013.12.30)

西峠往復(2015.5.1)


彼岸の入りだから和菓子処うませまで(2015.9.20)

うませのご主人との会話を昨日のように思い出せる。

和菓子処うませは、私のロードバイク生活を豊かにさせてくれた。
うませの季節の和菓子




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