「レキシントンの幽霊」と孤独 ― 2016-11-01 22:35
村上春樹「レキシントンの幽霊」Kindle版をダウンロードして再読している。
そして「決意」がより固まった。
遅くとも再来年の春には仕事を辞めて、組織から離れようと。
経済誌などを読んでいると、70歳まで働いて老後に備えよなどと4−50代の経済評論家が唱えているけど、それは夢想でしょう。60歳を過ぎると年々歳々、人は衰えていく。
人も動物なんだから、自分だけが例外だと思わないほうがよろしいでしょう。
でそれが「レキシントンの幽霊」となにが関係するかって?
この作品は孤立や独りよがりな孤独ではなく、人が生きていく上での「孤独」を豊かな文章で表現している。村上春樹作品は短編に秀逸のものが多い。
人が群れていく中で軋轢と孤独を見事に摘出している「沈黙」という作品などは、逆に私たちに孤独であるが故の強靱さと同時にぬぐいきれない不安を提示する。
うかうかと生きて、うかうかと死んでいく、人は勝ち続けることなどできない。
恐怖や得体の知れない怪異譚でなくとも、私たちの人生は「偶然の旅人」として翻弄されやすい。
そう思いながらこの本を再読していると、リアルを小手先の処世術で生きていくことにはつくづくと飽きた。
うかうかと死ぬ前に、孤独であろうと、豊穣な風景と人の言葉をしばし味わってみたい。
組織言語にはもう飽きすぎた。
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