南木佳士「草すべり」などを読む2008-07-15 23:52

帰宅後、発泡酒+漬け物で飲んでいます。

■南木佳士最新短篇集「草すべり」読了
草すべり その他の短篇
南木さんは最近、山歩きのエッセイが多いが今回は山歩きをモチーフにした短篇集。
南木さんは40代前半に終末医療の現場を経ることによって神経衰弱・うつ病を発症し、回復過程で50歳からすこしづつ信州の山歩きをされている。人はなぜ山を歩くのか?というひとつの答えがこの短篇集の中にある。

どの作品も私小説めいているが、おそらく私小説ではないのだろう。

「自分がかぎりなく卑小な人間なのだと自覚してしまえば、金で幸福は買えないけれどたいていの不幸は遠ざけられる、という品のない薄っぺらな箴言はすんなり胸底に落ちついてくれる」(83頁 旧盆)

「定型の句と所作は、うちに抱え込んだ柔らかな細部を保護してくれる。」(93頁 旧盆)

「山歩きは人生の復路に入ってから始めたほうが、より多くの五感の刺激をからだに受け入れられる気がする。若いからだは余剰の熱を外に向けて発散するばかりだが、老い始めると、代謝の低下したからだは外部からのエネルギーを積極的に取り込むようになる。鳥の声、針葉樹林の香り、濃すぎる青空、鮮やかな緑の苔、沢の水音、木漏れ陽。」(100頁 旧盆)

ひとりごとのような「わたし」の諦観に親しみを感じる。日々を哀しんで生きているわけではないが、静かな山歩きをしたいという思いは強まっていく。

■自転車人
自転車人 12 (SUMMER 2008)―MAGAZINE FOR BICYCLE PEOPLE (12) (別冊山と溪谷)
表紙の気持ちの良さったら! 今年の夏はテント泊とともにツーリングも計画しよう。

探険倶楽部AGAIN
こちらも山と渓谷社の最新マガジン。日本の秘地として「口永良部島(鹿児島県)」が紹介されている。なんか最近、屋久島がブームっぽいが屋久島の西、ひょっこりひょうたん島のような形容の口永良部島の魅力が簡潔に紹介されている。登山道のない新岳を登ったときのすばらしさを忘れることができない。

関西は蒸し暑い日々が続くが淡々と日々を送り、自転車・山歩きをしていこう。さて、いまから冷酒でも飲みましょうか。


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