芦生の森(1)桃源郷の川2006-03-08 20:06

由良川本流部の流れ

芦生(あしう)の森は、京都府にあり滋賀・福井と境を接する森。京都大学農学部が演習林として使っている森であり、そのため自然が豊富に残っている。

数年前、ひとりでテント泊のため芦生の森に入った。展望がよいわけではない。ただただ森ばかりが続く原生林だ。しかし、森に潜るという体験が、すっかり私を魅了した。毎年、8月上旬には重いザックを背負い、芦生の森に会いに行く。とくに由良川本流部分は、ちょっとした沢歩きとなり、日帰りは難しい。そのため、登山者に出会うことも少ない。

初めて芦生の森に入り、由良川本流部を歩いたとき、じぶんが夢に描いていたような川の流れに出会った。その年の夏は、空梅雨のため川の水量は少なかった。本流部分の中間地点に、その桃源郷のような流れはあった。水は澄み、たおやかでゆるやかに蛇行しながら山の斜面にそって流れている。

夏の焼け付くような日差しの中、私は、この川にどこかで出会っていたという不思議な既視感にとらわれていた。
芦生の森が、私に深く住み着いた瞬間だったと思う。


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